『エアポート’80』~「グランドホテル方式」、その「モニュメンタリティ」としての映画様式~

 映画の構成が「演劇」的な構成よりも「文学」的な構成により近いものであることは、すでに一般論としての通説になっているかもしれません。
 その時間の移動、及び空間の移動を同時に体感できるスリリングな特徴は、現在、映像文化特有のものとなっているのです。

 1916年、ハリウッドのD・W・グリフィスは、ソヴィエト連邦のエイゼンシュテインやプドフキンのモンタージュ理論の前に、すでに『イントレランス』のクライマックス・シークエンスにおいて、古代西アジアでのバビロンの崩壊、キリストの受難、中世フランスの聖バーソロミューの虐殺、現代のアメリカでの資本家と労働者の対立など、B.C.2000年から現代までの歴史的過程における4つの異なる時代と地域の挿話を同時進行させて表現するモンタージュ手法を採っています。

 ラスト・シークエンスでは、それを数秒の短いショットで繋ぎ合わせる「パラレル・アクション」としてのモンタージュを完成させるまでに至っているのです。
 これらの映像的手法の独自性により、従来の演劇的手法を模倣した「時間の単一」、「場所の単一」、「事件の単一」を原則とした「三一致の法則」、フランスの「フィルム・ダール」社などの、演劇を固定画面でフレーム内に映像化した舞台中継ともいえる映画作品を超越し、映画特有の新しい手法を確立したともいえましょう。

 しかしながら、映画が演劇と全く異なるものなのか否かと問われれば、それはやはり演劇的手法を応用した技巧を用いて制作された素晴らしい傑作郡も多くあるのです。

 その代表的な作品として、1933年のハリウッド作品であるエドマンド・グールディング監督の『グランド・ホテル』が挙げられるでしょう。
 「場所の単一」においては、超高級国際ホテルを舞台に、「時間の単一」においては、そのホテルでの一夜に限って、というように舞台劇としての要素を機軸に展開していくのです。

 しかし着目すべきは、元来は舞台の脚本であるこの作品に対して、それぞれの登場人物の人生模様を同時間的に交差させて描くという実に映画的な手法も加えられていることなのです。

 更には、単独の出演で充分に主役をまっとうできる人気映画スターを複数人出演させるオール・スター・キャスティングという映画的な「スター・システム」の新たなる方法を取り入れて成功させている作品でもあります。
 グレタ・ガルボをはじめ、ジョーン・クロフォード、ウォーレス・ビアリー、ジョン・バリモア、ライオネル・バリモアなど、当時のメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)社の人気スターを多数出演させているのです。

 1930年代のハリウッド映画の黄金期は、主演俳優の人気を利用して開花していった側面も多くあったわけで、スターの人気に依存して映画を制作していたこの「スター・システム」を、更に飛躍させる結果となったようにも思います。

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 これらのことからも、映画形式の試みは、多くの映画的要素を複合し、総合的な映像探求の模索により、現在にまで至っているわけですが、特に映画のスタイル(様式)においては、ソヴィエト連邦の映画作品において、強く意識されていたそうです。

 当時の国家的イデオロギーや国家体制などから、研究され、理論化されていた映画実践を試みていたソヴィエト連邦の映画は、特にその原則に注視していたのかもしれません。
 映画における典型的なスタイル(様式)の問題も、テーゼとアンチ・テーゼの矛盾のなかで進歩していったともいわれています。

 ハンガリーの映画評論家、ベラ・バラージュの代表著書である『映画の理論』によれば、「社会全体の問題でテーマやメッセージなどを追及した記念碑(モニュメンタル)的性格」である作品と、「個人の生活の事件を扱う室内劇的性格」の作品とが、大きな矛盾した別体系の作品として捉えられていたため、それが当時においては大きなせめぎ合いとなっていたそうなのです。
 ベラ・バラージュは、これらの二つの体系を二者択一する必要はなく、最終的には、人間の個性的な運命を通して明らかになっていく歴史的な展望を持った作品に昇華されていくこと、それが映画様式(スタイル)の総括であるべきであるとしました。

【(略~)或る人は、ソヴェト映画は社会主義の精神にのっとった映画であるべきで、卑近個人生活の事件を扱う、《室内劇的性格》の映画であってはならないと主張した。(略~)
とはいえ、スタイルの問題としてみれば、モニュメンタリティと室内劇とをこのように対立させることはまちがっている。十九世紀初頭まで、このような《あれか》《これか》という排他的な二者択一は存在しなかった。】
【引用~ 『映画の理論 第二十二章 様式(スタイル)の問題』ベラ・バラージュ著、佐々木基一訳、学芸書林、1970年】

 そのような意味において、『グランド・ホテル』は、戦前のドイツの首都ベルリンにあった超高級国際ホテルが、その役割を果たしていると考えられます。
 わたしは、ここで社会的なテーマによるメッセージとしての記念碑的なもの、例えばそれは社会秩序や制度・法令・民族的習慣、思想・信条であったり、歴史的建造物や遺跡であったり、近代技術を駆使した社会資本であったり、公的プロジェクトでの不朽の業績や金字塔であったり、合法・非合法の社会組織であったり、場合によっては、自然現象や大自然にそれらを投影して比喩したものであったりするわけですが、これらをテーマとすること、すなわち「モニュメンタリティ」としての映画の生成を、この『グランド・ホテル』に見て取ることが可能であるように思うのです。

 超高級国際ホテル「グランド・ホテル」を取り巻いて、映画としてのドラマトゥルギーを人間群像劇とした着想は、「モニュメンタリティ」と「室内劇」を融合させたベラ・バラージュの総括した映像理論を応用したものであったように思うわけなのです。


 『グランド・ホテル』から、30~40年後の1970年代には、このような「グランドホテル方式」を準用した作品、すなわち複数の主役級の人気スターを登場させながら、地震などの自然災害、または航空機の事故、火災、船舶事故などの人為的な災害のなかで、人間群像を描いた作品が多く製作されました。

 ハリウッド黄金期1930年代には、すでに、サン・フランシスコ大地震を描いた『桑港(サン・フランシスコ)』、ニューヨーク市での大災害を描いた『世界大洪水』、当時としては最高の製作費をかけ、1871年に実際に起こったシカゴの大火災を描いた『シカゴ』などがあります。

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 1970年代の「パニック映画」の作品群の特徴には、これら「ディザスター(災害)映画」の作品に、その起源を見ることができます。

 また、ベラ・バラージュの総括した映像理論から考えても、1970年代の「パニック映画」は、豪華客船(『ポセイドン・アドベンチャー』)、超高層ビルディング(『タワーリング・インフェルノ』)、国際空港(『大空港』)及び最新のジェット旅客機(『エアポート’75、’77、’80)、大都会ロサンゼルス(『大地震』)を、その「モニュメント」として描いているといえるでしょう。

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 どの作品も、最先端の近代技術を駆使した記念碑的シンボルの崩壊を描いたものとして捉えることが可能であり、それによって、「人間の個人的な運命を通して明らかになる歴史的展望」を描いた作品であると、ベラ・バラージュの言説のとおりの解釈をすることも可能であるような気がするのです。

 「グランドホテル方式」は、人間社会そのものを象徴させる特徴があることはいうまでもありませんが、1970年代のこれらの「パニック映画」郡には、更に、人類が英知を結集して作り上げたインフラストラクチャーが、人災や自然災害によって瞬時に崩壊して大惨事と化す様相、それが一瞬にして瓦礫し、尊い人命を奪ってしまうような近代技術の崩壊、すなわち現代文明への批判までをも包含しているような気がするのです。

 オール・スター・キャスティングによる「アンサンブル・プレイ(群像劇)」としての人間社会の悲喜劇などを描くとともに、「現代の社会基盤=モニュメント」の崩壊を、安易な高度成長へのずさんな危機対応への警告として描き出していったともいえましょう。


 なかでも1979年に制作されたこの『エアポート’80』は、イギリスとフランスが現代の航空技術を結集して共同開発した超音速旅客機コンコルド(SST:supersonic transport)をそれにシンボライズさせた作品です。
 この航空機の外観の美しさ、特に離着陸時も含めたその飛翔のシークエンスにおけるスピード感溢れる勇姿の美しさは、このエアポート・シリーズ前3作品のボーイング機での航行シークエンスを群を抜いて凌駕しています。

 もちろん、キャスティングにおいても、原則通りにオール・スターを遜色なく配役させており、しかも、そのスケールは国際規模で、シリーズ随一の華やかさです。

 まず、驚くのは、フランスの超人気スターであったアラン・ドロンをコンコルドの機長、『エマニエル夫人』に主演し、ソフト・ポルノ作品の市民権を浸透させたシルヴィア・クリステルをスチュワーデスとしていることです。

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 この二人の美しい俳優としてのイメージが、コンコルド機の近代的で、ヨーロッパ的な美しさの外観と、実に良くマッチングしているように、わたしには感じられました。

 ジョ-ジ・ケネディは、このユニバーサル映画「大空港」シリーズの常連、パトローニ役として、

 そして、日本でも馴染み深いロバート・ワーグナー(『コルティッツ大脱走』、『スパイのライセンス』)とエディ・アルバート(『ローマの休日』)、『華麗な探偵ピート&マック』以来、久しぶりの共演となっています。

 また、更に驚くことに、イングマル・ベルイマン監督の作品に多数出演したスウェーデンの名女優ビビ・アンデルソンの出演に加え、

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 往年のジャズ・シンガーが二人、ブロードウェイの舞台やラジオの音楽ショーで親しまれていたマーサ・レイ(『チャップリンの殺人狂時代』)とモニカ・ルイスとのクラシック・エンターテイナー同士の共演までが実現していることなのです。

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マーサ・レイをモデルにしたと言われている作品


イージー・カム、イージー・ゴー

モニカ・ルイス / ユニバーサル ミュージック クラシック



バット・ビューティフル

モニカ・ルイス / SOUND HILLS


 超豪華キャストとは、このことです。

 しかし、残念なことに、これだけの豪華なキャスティングを組みながら、作品のドラマトゥルギーにおいて、「グランドホテル方式」としての「アンサンブル・プレイ」、すなわち「場所と時間、事件を単一とした複数人の群像劇」とする内容においては、あまりにも類型的で硬直した描写に留まってしまっています。

 過去においての「室内劇的性格」の作品として、
「パニック映画」である『ポセイドン・アドベンチャー』では、転覆した豪華客船内に限定した舞台設定で、登場人物各々の人生を交錯させた見事なストーリー・プロット、
シドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』でも、密閉された陪審員室内で行われる被疑者の裁決へのデモクラティックなディスカッション、
などに、その秀でた応用を見ることができるわけですが、それらの作品と比較しても、プロットの構成が非常に不足あることは否めませんでした。

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 また、せっかく若い黒人サックス奏者(ジミー・ウォーカー)の伴奏で、モニカ・ルイスが歌を口ずさむワン・ショットを撮っているのですから、彼女とマーサ・レイとがデュエットするなどの工夫をすれば、エンターテインメント的な要素も加わって、素敵なワン・シークエンスとなったと思ってしまいます。


 しかしながら、敢えてこの作品の特筆すべき映画的な価値を挙げてみるならば、やはり、この作品が制作された1979年当時の最先端旅客機であるコンコルド機を、その時代的「モニュメンタリティ」として扱った着想なのです。

【もしかしたら、これは歴史に残る作品になるかもしれない。「エアポート’80」を見て、そう思った。(~中略~)
 「エアポート」シリーズがいつまで続くかは知らないが、第二世代の“コンコルド”が世界中をブンブンとびまわるようになれば、当然、だれかがSST物をつくるだろう。HSTも画面に登場させるだろう。
 その時、あらためてクローズ・アップされるのが、「エアポート’80」だ。】
【引用~キネマ旬報1979年12月上旬号No.775「エアポート’80」特集「1 歴史に残るSSTもの」斉藤忠直】


 当時、この旅客機コンコルドは、通常のエアバスの航行航路よりも高い高度を超音速マッハの単位で飛行し、国際規模の定期運航路線をもつ段階まで進んでおり、次世代型の旅客機として最も注目を浴びていた航空機だったのです。

 高価格であったとはいえ、250機まで製造が延びれば採算ラインに上げられるマーケッティングもあったそうですが、日本においての日本航空による購入計画では、コストが高すぎるとの理由から発注を取りやめた経緯もあったと聞きます。

 そして、この映画が製作されてから20年後の2000年7月25日、エールフランス機の実際のコンコルド機(同機は、この作品でのレンタル使用したものだったそうです)が、パリのシャルル・ド・ゴール空港を離陸した時に炎上・墜落する事故を起こしてしまいます。この事故は、死傷者が100名を超えた航空機事故としては未曾有の大惨事となりました。
 これを重く受け止めたフランスのエールフランス航空、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズ航空の各社はともに、民間旅客機コンコルド機の定期運航の停止を決定することに、止む無く至ってしまったのです。
 残念というべきなのでしょうか、現在においてまで、定期航空路線での超音速旅客機での旅行は不可能なことになってしまいました。


 この作品が、商業映画としての出来、不出来を別として、
 現代における「モニュメンタリティ」ともいえる最先端の近代技術を誇る社会資本の不確実性が、このような大惨事にまで繋がっていく先見性を予見する意味において、

 更には、民間産業をも巻き込んだ国家的プロジェクトへの危機対応の警告を発していたことなどを考えあわせれば、

 わたしには、「グランドホテル方式」の「パニック映画」、特にこのユニバーサル映画社の『エアポート’80』は、映画としての役割を担った大きな価値を付加されていた作品であるようにまで思ってしまうわけなのです。


 アラン・ドロンのファンとしては、『スコルピオ』以来の13年ぶりにハリウッドに招かれて撮った作品であることや、「ヌーヴェル・ヴァーグ」左岸派の旗手アニエス・ヴァルダ監督が、映画生誕百年の記念映画『百一夜』で、このコンコルド機のワン・ショットをインサートしていたことなども、併せて想起してしまいます。


 そのような意味からも、わたしにとっての『エアポート’80』は、鑑賞するたびに、アラン・ドロン・ファンとしての誇りが湧き上ってしまう作品のひとつとなっているところなのです。
 あくまで、映画作品としての出来、不出来は別として・・・。
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by Tom5k | 2009-01-12 22:25 | エアポート’80 | Trackback(6) | Comments(23)

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Commented by 用心棒 at 2009-01-13 13:13 x
 こんにちは!
さすが見事に纏められましたね。映画の評価という点で見ると、芳しくないのが定見なのでしょうが、映像の与えたインパクトではそう落胆する作品ではないのではないかと思います。
 ぼくは小学生か中学生のときに一度観ただけなのですが、コンコルドの空中縦回転飛行、例の照明弾のくだり、最後でのアメリカン・ニュー・シネマのような救いのない終わり方などそうとうインパクトがありました。
 なにせあれから30年近い月日を経たのに、まだ上記のシーンを覚えているのですから、僕の感覚では酷い映画だと一概には決め付けられません。もちろん素晴らしい映画とはいえませんが、カルト映画的な評価を得ているだけのことはあると思います。
 ストーリーは破綻していたかもしれません。しかし映像と配役は失敗とは思えません。まあ、逆説的ではありますが、ストーリーが良いという一点のみで、過大な高評価を得る作品もあることは長い間、映画を観ている人ならば誰でも知っているでしょう。
 脚本さえシッカリしていれば、パニック映画の傑作になりえていたかもしれませんね。

Commented by 用心棒 at 2009-01-13 13:13 x
追伸
 こちらは『グリード』を記事にする予定でしたが、この狂気の大作を書くにはその前の前兆とも言える『愚なる妻』についても言及しないとならないのではと思い、ひとまず先に記事にしました。

 ではまた!
Commented by Tom5k at 2009-01-14 00:18
>用心棒さん、こんばんは。
>映像の与えたインパクト
あのコンコルドの飛翔する姿、何と美しいんでしょう。そして、ドロンとクリステルの近代的な美貌もあいまって、確かに近代的でヨーロピアン的な映画としての美しさは、当時のパニック映画郡では特に際立っていたかと・・・。確かにそれだけでも映像価値はありますよね。
おっしゃるように、映像から湧き上がってくる詳細なものをもっと丁寧に省みると、まだまだ各ディテールにも際立つものが隠れているかもしれません。本当に、コンコルド機それ自体が近代美を体現している。映画テーマとしてのモニュメンタルとしては、これ以上のモデルはないかもしれませんね。
Commented by Tom5k at 2009-01-14 00:18
>続き
ところで、この映画、カルト映画的な評価を得ているんですか?
ファンでありながら、存じておりませんでしたよ。
>ストーリーが良いという・・・
>脚本さえシッカリしていれば・・・
本当に新しい魅力をもう少しで作り出せたようには思います。
また、マーサ・レイ、ビビ・アンデルソンの活躍の場を、もう少し考えてほしかったですよ。あのふたりの挿話を工夫することで、かなり作品のレベルを上げられたはずなんですがね。
そういう意味では本当に惜しい作品です。
>『グリード』・・・『愚なる妻』
これは、期待します。あとでゆっくりお邪魔します。
わたしは、「イントラレンス」を再見して、次の記事に備えているところです。
ところで、「グランド・ホテル」の過去記事あったんですね。早速、お邪魔します。
Commented by mchouette at 2009-01-14 16:07
トムさん 明けましておめでとうございます。ちょっと間延びした感ありですが松の内だし。すっかり年始の挨拶が遅れてしまってごめんなさい。しかし仕事も忙しくし照られると思うのに、このパワフルな内容ときたら! 
記事のコメントはちょっと待ってね。
打ち出ししてゆっくり読むわ。@会社なもんで(笑)

何はさておき、昨年はトムさんから本当に随分と刺激をもらってとても有意義なブログ年でもありました。何よりの収穫はゴダール回帰!
今年はどんな刺激をもらえるかしら?って思ってる矢先のこの記事!
今年も息切れせずについていけますように!(これは私に向けて)
映画に、仕事に、そして日々の暮らしに今年も充実した年でありますように!(これはトムさんに向けて)
取り急ぎ松の内の飾りがあるうちにと、大急ぎで新年の挨拶に参りました。
後日ゆるりと記事にお邪魔させていただきますね!

Commented by mchouette at 2009-01-14 16:08
続き
用心棒さんとのやり取りもとっても興味深いです。
やはり刺激的!
Commented by Tom5k at 2009-01-14 23:22
>シュエットさん、あけましておめでとう。
わたしの今年のおみくじは、「大吉」でした。
>このパワフルな内容・・・
ありがとう。今回は用心棒さんの新記事とコメントに触発されてアップしました。
この作品、映画としては、駄作だとの評価ばかりなもんで、ファンとしては、くやしいではないですか(笑)。わたしには、ドロンの記念碑的作品とも思え、以前から記事にしようと思っていたところなんですよ。
>ゴダール回帰!
フランス映画界では、両極端の対極に位置するドロンとゴダール、でも決して水と油ではないと、これもつねづね・・・です。
双方、無関心ではいけませんよね。
ドロン・ファンのわたしが、ゴダール信奉者のシュエットさんやトリュフォーを愛するオカピーさんなどと対話できることに幸せをかみしめているところです。
>用心棒さんとのやり取り・・・
Commented by Tom5k at 2009-01-14 23:23
>続き
この作品、純粋に映画としての評価が可能か否なのか?まったくもって、用心棒さんには、お付き合いいただいており、ありがたいことです(笑)。
また、今回は、オカピーさんのプロフェッショナルなパニック映画評と異なる内容が多く、わたしの場合は映画という媒体でなくても良い視点で映画を語っている内容が多かったかもしれません。
でも、いろんな視点でみなさんとコメント交換できることは、とても幸せです。
今年も楽しくやりましょうね。
あっそうそう、「知りたいのはソコやねん!」のトールバズの記事にわたしとシュエットさんが載っていますね。
何か、また盛り上りそうな予感(笑み)。
では、また。
Commented by オカピー at 2009-01-16 02:45 x
こちらに書き込む前にコメントを貰ってしまい甚だ恐縮しております。
何だか解りませんが色々と時間が取られておりまして。

パニック映画を語る時やはり回避できないのが「グランド・ホテル」形式ですよね。
その嚆矢となったのは恐らく「大空港」で、これは最も「グランド・ホテル」形式を上手く活かした作品です。パニック映画というよりはサスペンスのある「グランド・ホテル」形式群像劇だったという印象が強く残っています。
次の「エアポート75」になりますと、メインはサスペンスになり、「大空港」ほど鮮やかな人生模様の点出がなく、恐らく典型的なパニック映画の構成だったでしょう。この時代がピークでもありました。

TBした「タワーリング・インフェルノ」は再鑑賞映画に関しては真面目に書かなかった時代の映画評なので甚だ貧弱なものですが、悪しからずお納めください。
Commented by オカピー at 2009-01-16 02:50 x
パニック映画につきものの人生模様は程々にしないと映画そのものが墜落(航空機ものに使用)若しくは沈没(船舶ものに使用)してしまいます。
それをぎりぎりで最も良いバランスで処理したのが「ポセイドン・アドベンチャー」でしょう。あれ以上そちらの描写を増やしたら波が来る前にその重さで沈没してしまったでしょう(笑)。
中堅の役者を揃え、場面場面に隙間が生じなかったのも成功した理由と思います。

ああ、「エアポート80」ですね。忘れっちゃったんですよねえ、細かいところ。だからコメントのしようがないですが、ブログの採点で言えば☆☆★(5点)といったところです。
チャンスがあれば観て、ある程度きちんと書きたいと思いますが、積極的にはやれません(笑)。

それでは~。
Commented by Tom5k at 2009-01-16 22:01
>オカピーさん、いらっしゃい!
>「グランド・ホテル」形式
はい、はい、これと「災害映画」を一緒にすると、確かに豪華ですし、サスペンスフルのスケールも大規模になり、かつ演劇的手法が映画的に応用できるという面白い着想ではあったのでしょうね。
しかし、おっしゃられているとおり、欲張りすぎて駄作になる確立も高いわけでしょう。
>「タワーリング・インフェルノ」は・・・真面目に書かなかった時代の映画評・・・
でも、オカピーさんの映画の捉え方の的確さが、とてもわかりやすかったです。
>「ポセイドン・アドベンチャー」
なかなか素敵な作品でしたね。ジーン・ハックマンの最後のセリフは印象深かったなあ。このような娯楽映画でも、あのような反骨に溢れていたんですね。
いつも思い出すのは「若者のすべて」のドロンが、これとは逆に「かみさまを悪く言うのはおやめよ」といって、逆に不幸になっていく姿です。欧米作品は宗教からの解放が主題になっているものが多いですね。
>☆☆★・・・積極的にはやれません
確かにねえ。納得でしょうか?(笑)
では、また。
Commented by mchouette at 2009-01-19 11:08
トムさん 遅くなりました!
週末は場末の劇場で3月で上映権が切れてしまうアキム兄弟プロデュース作品特集を観にいっていたもので…
日曜日は久々数十年ぶりね、「太陽がいっぱい」「太陽はひとりぼっち」観て、スクリーンいっぱいクローズアップのドロンの顔そして眼を十二分に観させていただきました!(ムニュ~ッ!)
で、遊びにきたら用心棒さんと、オカピーさんまでもが来てらして、私が何を喋るんだ!ってところです(笑)

>わたしにとっての『エアポート’80』は、鑑賞するたびに、アラン・ドロン・ファンとしての誇りが湧き上ってしまう作品のひとつとなっているところなのです。
遠い記憶ですが「大空港」そして「エアポート’75」は観てますね。とはいえ遠い記憶だけですが「’75」もストーリもおぼろげでラストのヘストンが「ベイビー、ベイビー、飛ぶんだ、飛ぶんだ(だったっけ)」だけ覚えてる(笑)
それ以降、シリーズみたいに作られた作品は観てないな。というわけで「エアポート’80」も未見です。
Commented by mchouette at 2009-01-19 11:09
続きます。
でもトムさんの記事読んでいると、それに斉藤忠直さんの歴史に残る作品かもしれないというお言葉に早速にTSUTAYAに捜しに行きますわ。観ないと話にならないもんで。で、こうやってちょいと刺激もらって観出すと、熱しやすいABの血かしらね、連鎖反応で乗ってしまうということになって、昨年もずいぶんとドロン・ファン以外はマイナーなドロン主演作品を鑑賞いたしました。「真夜中のミラージュ」などは、よくあるパターンとはいえ、途中のごった煮状態といい、どんでん返しとでもいえるラストも小粋で、フランスのセンスならではの作品と大いに気に入った作品です。

Commented by mchouette at 2009-01-19 11:09
さらに続く
さて本作、指摘されるように1979年という時代にあって、最先端旅客機であるコンコルド(乗ったことはないけれど名前だけは知ってるほど有名!)を題材に、単に娯楽作品という視点ではなく、まさ20世紀末から21世紀にかけて様々な側面で露呈してきた現代文明に対する警鐘とも思える危機的状況に繋がるものとして、本作を再浮上させたトムさんのお手並み(?)も見事!
パニック映画って、「タワーリング・インフェルノ」などでもそうだけど、時代が質実剛健の時代から成熟し、そして熟れ過ぎて腐敗してくる過程って、まさに<人類が英知を結集して作り上げたインフラストラクチャー>に象徴される。建築様式の変遷をみても一目瞭然ですよね。
ただ最近はそうした現代文明に警鐘を鳴らすというお題目で撮られた作品なども、パニック度にウェイトが置かれていたり、CGで凝った影像表現に終始したりといった作品も多いみたい。
Commented by mchouette at 2009-01-19 11:09
これで最後。
P様とのコメントに横レスして…
>このような娯楽映画でも、あのような反骨に溢れていたんですね。
当時はそれほどいいとも思わなかった作品も、再鑑賞してみると、この映画で何を伝えたいか、何を描きたいかっていうのが一本芯が通っていたし、時代に対する主張がある。当時はガキでそこまで読み取れなかったということもあるんですけどね。
それに比べてソダーバーグの「チェ」は…!と思ってしまう。
今年最初のTSUTAYAレンタル第一号は、では「エアポート’80」と致しましょう。
何を喋るんだといいながら、中味のない喋りを長々としているわ。
女同士の井戸端会議と思って大目に見てやってください。
では今年もこんな感じでよろしくお願いいたします。
Commented by Tom5k at 2009-01-19 23:05
>シュエットさん、お待ちしておりましたあ~!
何とアキム特集ですかあ?!
しかも「太陽がいっぱい」「太陽はひとりぼっち」ですって!?
「超」うらやましいですよ。
年明け前には、姐さんが「若者のすべて」を映画館鑑賞されたと聞いて、うらやましくて、うらやましくて、まるでフィリップがうらやましいトム・リプリーのようだったわたし・・・。
今回も同様の気持ちです。いいなあ。

>用心棒さんと、オカピーさん
年の初めから、「ごっつい」来客です。これが刺激的なんですよね(笑)。

>『エアポート’80』・・・斉藤忠直さんの歴史に残る作品・・・言葉に・・・
この作品で、こんな高評価、この人とわたしくらいじゃないかな???(笑)
Commented by Tom5k at 2009-01-19 23:07
>続き
シュエットさんは、レンタルして、がっかりしないでね。
でも、この間のハドソン川の奇跡などと言われているUSエアウェイズの胴体着陸・緊急脱出は、まさに、この作品のラスト・シークエンスの雪山へのそれを、地でいっていたように思いました。機長さんも元空軍パイロットですものね。驚きましたよ。
我ながら、タイムリーな記事のアップでした。

>「真夜中のミラージュ」
このドロンは、光ってましたよね。未公開でマイナー作品の印象ですけれど。自信をもって、いろんな方にお勧めしたい一本です。

>現代文明に警鐘・・・CGで凝った影像・・・
CGだと、リアルな警鐘にならんですよね。パニック度にウェイトを置くのはいいのですが、人間のリアルな行動が主に描かれるべきというオカピー論に賛成しております。

>再鑑賞・・・
確かに、以前と異なる印象の作品も多いですよね。特にブログの交流などを経ると、良い作品鑑賞ができるように思いますよ。
では、また。
Commented by mchouette at 2009-01-19 23:21
トムさん
>「知りたいのはソコやねん!」のトールバズの記事にわたしとシュエットさんが載っていますね。
何のこっちゃ?って思っていたら、ワイダ作品に「知りたいのはソコやねん!」のトールバズさんがTB下さっていたのね。私TBだけって人は人にも初めは返していたけど、訪問するとTBだけやたら多くってって言う人が多いので、最近は基本的に無視してるんで気がつかなかったの。でもさっきちらっと覗いたら、なかなか刺激的なブログではありませんか。なんか乗り方と熱くなり方なんぞ共有できそうな気配が…(笑)。とりあえずTBだけして、明日辺りコメントいれにいこうかと思っとります!
Commented by Tom5k at 2009-01-23 22:09
>シュエットさん、遅レスすみません。
トールバズさんのところには、滅多にコメントはしないのですが、以前からわたしのお気に入りで、かつ相互リンクさせていただいています。
記事は熱く、かつ、若干ですが危険な魅力も感じます。
自らの生き方に実直な方なのだと察しています。
誠実なればこそ、泥まみれになっていらっしゃることが記事内容から感じられ、むしろそれが、わたしには魅力的に感じられます。
ところで、トールバズさんに、さん付けを抜かしていました。失礼しました。
では、また。
Commented by ジュリアン at 2009-01-31 19:51 x
トムさん コンチハ!!
『エアポート ’80』って映画 この作品によって完全にドロン離れ
しちゃったという公開時は大嫌いな映画でした。ブログ、ネットでいろいろな方たちと出会い 一昨年からドロン空白の20数年を一気
に鑑賞! 観るもの全てがドロンの新作でした。
そしてこの作品を改めて観直したんですが 高校の頃の感想とは
違ってまだ楽しめましたね。 ”こんなんありえへんやん”って
画面にツッコミ入れながら… 今思うと若い頃は暗黒街に生きる
カッコよいドロンしか認めね~って思ってる自分がいたのかな。 
Commented by Tom5k at 2009-01-31 21:52
>ジュリアンさ~ん!
>ドロン離れ・・・
わかります。当時のドロンは、ジャク・ドレーかジョゼ・ジョヴァンニでしたよね。TV放映もたくさんやってたし。
それが急に明るくて、世のエリートである航空機のパイロット・・・。
そういう意味では、公開時の時点では、わたしもがっかりしたなあ。
それにしても、併映が『マッド・マックス』ですってっ!
わたしたちの時代の神話的作品!あの『マッド・マックス』・・・!
凄いですね。
わたしの地元では、併映はクリント・イーストウッドの『アルカトラズからの脱出』でしたよ。サスペンスフルで、手に汗を握って観てました。映画館を出たときは、こちらの作品のほうが強く印象に残っていたことを思い出しますよ。
では、また。
Commented by 用心棒 at 2009-02-07 23:59 x
 こんばんは!
 札幌ですか?いいですね!ぼくは今日、『エアポート’75』『エアポート’80』を自分の家から三つ駅向こうのレンタル屋さんで借りてきました。結構楽しめましたよ!
 覚えていたのはいくつかの映画的なシーンで、コメントにもその旨お伝えしましたが、その理由は多くのスターがあちこちにいるのに、脚本家と監督が彼らをさばききれずに、しかもどの人物の人生も深く描かれていなかったからだと改めて思い知らされました。
 しかしそれでもなお、俳優たちと映像そのものにポテンシャルがあるので、十分楽しめましたよ。マシントラブルやなんかで、なかなか実力を発揮し切れなかったF1レーサーのネルソン・ピケをなぜか思い出しました。
 ではまた!
Commented by Tom5k at 2009-02-08 21:48
>用心棒さん、こんばんは。
おおっ!何と用心棒さんらしくない作品選定!?(笑)
お付き合いしていただいて、本当に恐縮しています。
しかし、スターというのは、ほんの一瞬でもそのワン・カットでのオーラが違いますからね。
そういう意味ではオール・スター・キャストは、わたしも好きです。そして、このシリーズでは、やはり第一作目の「大空港」が郡を抜いているんでしょうね。航空機の美しさを徹底して追及していけば、更なる傑作シリーズとなったかもしれませんね。

ところで、わたくし昨日、札幌で『望郷』と『太陽がいっぱい』を劇場初鑑賞、もう感激から未だ抜けきれておりません(笑)。
それから、帰りに本屋で、ようやく『シネマトグラフ覚書』購入しちゃいました。
そのうち、また、ブレッソンにもこだわっていきたいと思っています。
では、また。