『ル・ジタン』②~カワサキ500SSマッハⅢ~

 映画『ル・ジタン』では、アラン・ドロン演ずるジプシーの主人公ユーゴ・セナールが、逃走中の滞在地ニニホテルで警察に包囲され、バイクを使ってその包囲網を強行突破する場面があります。
 このシーンは、アラン・ドロンがバイクでウィリーしながらの走行で、手に汗握る緊迫した逃走場面でした。よくあるデモンストレーションでのウィリー走行と異なり、前輪を浮かせたというより、浮いてしまったという描写で、これがまた、逃走場面をよりリアルに表現していたと思います。ここは凄い場面でした。
 ハードなアクションシーンであるにも関わらず、スタントなしの撮影だったそうです。

 使用したバイクは日本が世界に誇るカワサキ500SSマッハⅢです。1969年にカワサキがバイク市場の世界戦略で、最高速を目指して開発し登場させ、伝説のバイクといわれるようになりました。

 主な仕様は、
 全長×全幅×全高 2,095×840×1,080mm
 軸間距離 1,400mm
 車両重量 174kg
 エンジン形式 空冷2サイクル3気筒
 総排気量 498cc
 最高出力 60ps 7,700rpm
 最大トルク 5.485kg-m 7,000rpm
 高時速200km/h
 スピードメーター目盛表示 240Km/

 2サイクル3気筒エンジンならではの加速力の凄さにより、車両重量170kg以上という高重量でありながらチェンジ3速目でも、まだ、ウィリーしてしまうといいます。エンジンをフロントからできるだけ後ろに離した点も前輪を更に浮きやすくした要因のひとつだそうです。

「曲がらない、止まらない、まっすぐ走らない」「スピードが猛烈でコーナーリングは必ず転倒する」「白煙が凄くて、後ろから前を走っているマッハの視界は閉ざされる」「ブレーキがまったく利かない後家づくりバイク」「クレイジーマッハ」「ジャジャ馬マッハ」等々。
 このマッハを比喩したキャッチフレーズはどれもこのバイクの特徴をよく表現していますが、当時のアラン・ドロンがこれを気に入って、使用した気持ちがよくわかります。
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 ちなみに、わたしは若き日にスティーブ・マックイーンの『大脱走』でのオフロードバイクの鉄条網内での逃走場面に憧れて、ホンダのオフロードバイク「XLR250cc」を愛車としていました。今はもう壊れて動かないわが愛車...。しかし、わたしはオフロードバイクに乗りながらウィリーが怖くて出来ず、山道ではなく、ただ道路を普通に走っていただけでした。考えれば何のためにわざわざオフロードバイクに乗っていたのでしょうか?。
 情けない自分の経験から、あらためてアラン・ドロンという俳優の素晴らしさを実感してしまうのです。

【訂正】
ジタンのバイクはH2Bの、おそらくはドイツに輸出されたものだそうです。
500SSについての説明は初期のものではないかとのことです。
H1D以降のモデルで意識せずに前輪が浮くことはないそうです。
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by Tom5k | 2005-05-07 23:51 | ル・ジタン(3) | Trackback | Comments(1)

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Commented at 2011-02-08 11:00 x
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