『地下室のメロディー』④~北海道新聞(朝刊)の「卓上四季」(2013・12・1)にて~

 2013年(平成25年)12月1日付け北海道新聞(朝刊)の「卓上四季」に、アラン・ドロンのことが掲載されていました。

【「卓上四季」抜粋①】
「往年の映画スターの名前を紙面で目にすると、思わず訃報か、と目を凝らしてしまう。失礼、この方はお元気な様子だ アラン・ドロン氏。久びさにマスコミに登場したかと思えば、極右政党への支持を公言し、美女コンテストの名誉会長職を剥奪されたという。未練たっぷりの解任劇だったそう」

 美女コンテストの名誉会長職に就いていたんですね。知りませんでした。
 「ミス・フランス2013年の決勝大会」の様子はこちらにありました。

 アラン・ドロンは、相変わらず、ご高齢にも関わらず話題には事欠いていません。
 それにしても、彼が以前から右翼と言われていたのは存じていましたが、「極右政党への支持を公言」とは驚きます。よほど現在の社会党政権(フランソワ・オランド大統領)への不満が大きいのでしょうか?確かに過去にアラン・ドロンが映画界で人気が振るわなくなった時期、そして、フランスの映画産業が振るわなくなった時期は、やはりフランス社会党のミッテラン政権の時期と重なるような気がします。
 オランド政権下では税制改革も進み、100万ユーロを超える所得の富裕層には所得の75%が課税されるようになったそうですから、アラン・ドロンの納税額も相当なものなのでしょう。共和党時代のジャン・ギャバンでさえ、自伝の執筆依頼を断った理由に「もうけの大半は税金でとられてしまう。私は税金を納め過ぎているんだ。もう奉仕はごめんだね」と不満の声を挙げていたようです。そのことが原因か否かはわかりませんが、当時のジスカールデスタン共和党大統領からの昼食会への招待も断っていたそうです。
 共和党政権の時代でさえ、富裕層であった人気スターの不満はこのようなものであったのですから、オランド社会党・・・言わずもがななのでしょう。
 実際この政権の税制改革は、富裕層にとって切実なようで、実業家やスター俳優がフランスから実際に他国に移住する事例が増加しているほどなのだそうです。アラン・ドロンが極端な「極右政党への支持」を公言する理由のひとつとしてわからなくもありません。

 「極右支持公言「ミス・フランス」名誉会長辞任」の記事はこちらにありました。

 それにしても「未練たっぷりの解任劇」とは、ユニークですね。でも、『冒険者たち』のレティシア、『サムライ』のヴァレリー・・・特に『黄色いロールスロイス』のメイなんかを想い出すと、意外に、女性とうまくいかなくなる役も似合っていた作品が多かったような気もします。ファンとしては、少し情けないけれど、そう考えると何とも微笑ましくて、彼らしいとも思えてきます。

【「卓上四季」抜粋②】
「「太陽がいっぱい」で“世界デビュー”を果たしたドロン氏は、とりわけ日本の若い女性に絶大な人気を博した。その魅力は端正な顔立ちにときおり浮かぶ深い憂い・・・だろうか。青春真っ盛りだった俳優もいまや78歳。老境の域に達してはいるが、脂っ気はまだ抜けていない。」

 最近、『学生たちの道』(1959年)がDVD化され、早速購入しましたし、『太陽がいっぱい』(1959年)なども気が向いたときに良く観ますけれど、彼が続けて出演したこの2本を観ても「絶大な人気を博した」理由が、よく分かります。
 『学生たちの道』などで、アイドル俳優としてあの美しい顔だけでも人気が出たのは当然でしょうけれど、『太陽がいっぱい』で犯罪者となって破滅する青年の役を引き受けたときは、単なる人気アイドルとしてでなく、役者・俳優して生きていく覚悟を決めた端境期だったんでしょう。彼の人気が絶大だったのはそんなところにも理由があったんじゃないでしょうか?

【「卓上四季」抜粋③】
「ドロン氏が名優ジャン・ギャバンと共演し、映画史を彩った作品のひとつに「地下室のメロディー」がある。日本での公開は、ちょうど50年前。季節もいまごろだった 刑務所で出会った2人が出所後、南仏カンヌのカジノから巨額の現金を強奪する筋立て-。奇想天外な結末は映画に譲るとして、華やかなカジノを裏で操る者たちが、随所に描かれている。一般の人には想像できない<深い闇>が 」

 「カジノを裏で操る者たちが、随所に描かれて」はいなかったように思うのですが、現在、北海道新聞のコラム「卓上四季」にアラン・ドロンの作品が紹介されたことは本当にうれしいことでした。それにしても私の母がまだ20代の頃、アラン・ドロン27歳の時の作品ですから、50年も前になるんですね。本当に感慨深いものがあります。
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【「卓上四季」抜粋④】「カジノ解禁に向け、高橋知事が道内の自治体の先頭に立って旗を振る姿に、違和感を覚える。よもやリゾート施設を誘致するつもりでもあるまい。カジノは賭博。暴力や犯罪が必ずはびこる。ドロン氏の迫真の演技は、その恐怖を教えてくれる。」

 カジノは、日本では刑法上は賭博とみなされているそうです。海外では120以上の国や地域で合法化されていて、G8の国家のうち全面的に禁じられているのは日本だけで、カジノを実現するにはわざわざ特別法などを制定する必要があるそうです。
 しかし、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、超党派(自民、公明、民主、日本維新の会など)として、各政党の議員が名を連ねている「国際観光産業振興議員連盟」が、秋の臨時国会にカジノ解禁に向けた議員立法の提出を検討しているそうです。特区を設けて、その中で解禁するではないかとのこと。
 カジノだけでなくホテルや国際会議場、スポーツ施設、ショッピングモールなどが集積する「統合型リゾート」(IR)と呼ばれる複合施設の建設を促進することも視野に入れて、東京都、大阪市はもちろん、沖縄県や宮崎県などでも誘致を検討しているそうです。
 北海道内でも釧路市、小樽市、苫小牧市の3市が既に手を挙げていて、高橋はるみ知事も道内への誘致に積極的だそうです。苫小牧商工会議所などを始め、周辺の千歳市と恵庭市、白老町、厚真町、安平町、鵡川町の商工会議所では「道中圏統合型リゾート構想誘致期成会」を設置しています。まだカジノ設置の市町村は具体化していないものの新千歳空港からのアクセスを長所として誘致を進めていくことが基本構想の戦略となることは間違いないでしょう。

 北海道新聞のコラム「卓上四季」では、カジノがギャンブル依存の温床となって、犯罪増加に結びついていくことを懸念し、特に暴力組織が関与することへの不安や青少年への悪影響などを想定した道政批判を結びとしています。
 確かにこのテーマで、アラン・ドロンとジャン・ギャバンが共演した『地下室のメロディー』を引合いに出すのは、ファンとしては、素晴らしいセンスだと思うのですが、この映画作品の結末では、警察の取り締りが強固であることによって、現金強奪が失敗に終わってしまうことが描かれていました。ですので、「ドロン氏の迫真の演技は、その恐怖を教えてくれる。」のではなく、むしろ警察の警備体制が万全であることのキャンペーンになってしまう内容であったのではないかとも思います。ですから、『地下室のメロディー』は、この「卓上四季」の主題の的から外れる題材だったようにも思うのでした。

 特に、私などは、この作品があまりにも魅力的であることも手伝ってしまい、逆にカジノ誘致の推進に一役買ってしまうのではないかと・・・。そういった意味では、この日の「卓上四季」は少し残念だったような気もしました。

 しかし、やっぱりアラン・ドロンのファンである私としては、このような記事が、毎日読む新聞のコラム欄に何気なく掲載されていたことは、本当にとても嬉しいことであったのです。



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by Tom5k | 2013-12-31 22:28 | 地下室のメロディー(5) | Trackback | Comments(2)

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Commented by 用心棒 at 2014-01-02 00:26 x
 明けまして、おめでとうございます。

 久しぶりにコメントをいただき、嬉しく思います。カジノ構想はあちこちの自治体で誘致を目指していますが、実際にはどうなるんでしょうかね。

 治安が心配というのが地元民の一番の気がかりでしょうし、税収がどの程度上がり、それがどれくらい地元に還元されるのかが大事なんでしょうね。やってみないと本当のところは分からないのでまずはどこかで始めるべきでしょうね。

 のんびりと更新していただけたら、こちらもうれしいですよ。

 今年もよろしくお願いいたします。ではまた!
Commented by Tom5k at 2014-01-02 13:51
>用心棒さん、おめでとうございます。
本当にこの1年間、メンタル疾患にもならずに、よく仕事に行っていたと思いますよ。(笑)病院に行ったら診断書は出ていたかもしれません。
さて、北海道新聞(朝刊)の「卓上四季」ですが、例えば朝日新聞で言えば「天声人語」のようなコラムなのですが、アラン・ドロンが取り上げられたことは本当にうれしかったですよ。
カジノに関しては、経済効果はあるでしょうね。失業対策にもなるかもしれません。しかし、集客の問題が一番ですよ。短期的には良いかもしれませんが、JRAと違って道営競馬なんか悲惨ですからね。
更新はのんびりやりたいと思っています。ドロンのソフトも「シシリアン」(フランス語版)、「ボルサリーノ」国内初ソフト化など、楽しみですし、「学生たちの道」は既に購入しました。
最近は、「白い巨塔」や三浦綾子さんの原作映画、木下恵介の作品にはまっております。
では、また、本年もよろしくお願いします。